tatsuro1973の日記

歌舞伎、文楽、落語を中心に古典芸能について綴ろうと思います。それと日々の暮らしについてもです。

文楽 忠臣蔵五段目 六段目を幕見で見る。

昨日、友達と松竹座で歌舞伎 仁左衛門の知盛を幕見で見ようと9時に松竹座に行くと10人くらいに前に人がいて、5人見るのは無理そうなので、文楽劇場文楽、五段目六段目を幕見で見ることにする。

会場の10時前に文楽劇場について幕見を購入する。

文楽の五段目 六段目 勘平のくだりは、見ていておかるの両親がよく描かれている。

歌舞伎では勘平が中心で舞台は動くが文楽は原作をベースに動く。

おかるの父、与市兵衛がおかるの身を売って得た百両の半分、五十両祇園から家まで暗い夜道を歩いていく途中で斧定九郎に襲われて殺されるのであるが、定九郎に命を乞うくだりは与市兵衛の人柄が、勘平を武士としての面目を保たせようとする思いが伝わる。歌舞伎ではこうしたくだりはカット、定九郎の五十両のセリフで終わる。

与市兵衛の内、身売りの段、勘平切腹では、与市兵衛の妻、歌舞伎ではおかや、文楽ではおかるの母のみ がよく描かれていて、母が勘平になぜ夫がお前に殺さなければならない、いろいろと世話をしているのにと執拗に攻め立てていくくだりがよく書かれている。この母親の責めと あとから来る原と千崎に勘平から受け取った敵討ちのための金

十両を不忠の金は受け取らないと拒否されたことで自分の舅殺しの潔白と落ちぶれたとはいえ主君の敵討ちに拒否されたことで不忠者として生きることが忍びなく切腹していくことが今回見えてドラマの骨格がつかむことができたのは収穫でした。

歌舞伎や文楽忠臣蔵の演出を違いを比べながら作品を鑑賞をしていくのは作品をより深く理解していくのにもいいし、より興味をもって歌舞伎や文楽を見られるようになる。

全体的に充実した内容で、六段目を前半の身売りを咲太夫燕三、後半の勘平切腹を呂勢太夫清治と最近の文楽では傑出した部類に入る。

呂勢太夫の語りは、勘平の切羽詰まって切腹する心情をうまく表現していてまさにロック 魂の叫びが切実に伝わる。清治の三味線は可憐さこそ消えてはいるがゆったりとした弾きで呂勢の語りをサポートしている。

人形は勘平が和生さんが歌舞伎では色男して描かれがちな勘平を実直な武士と描いていることに好感が持てる。

これに原を玉也が由良助の名代としての格を出すことで作品に奥行きが出たことはよかったです。