tatsuro1973の日記

歌舞伎、文楽、落語を中心に古典芸能について綴ろうと思います。それと日々の暮らしについてもです。

10月名古屋御園座 顔見世

 

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10月の名古屋御園座の顔見世は仁左衛門を中心とした一座である。

注目は昼の部の切の引窓である。

中秋の名月、月の明かりをつかって家の明るさを調整する引窓と季節感と生活感がうまく描かれた義太夫狂言屈指の名作である。

義理とはいえ、親子、兄弟の絆もよく描かれています。

南与兵衛 南方十次兵衛に仁左衛門、濡髪に獅童 お早に孝太郎 お幸に吉弥とキャスティングもいいです。

これに今回相撲場がついて全体の構造が見えてきます。

相撲場が濡髪に獅童 放駒に鴈治郎 

相撲場は筋としてみるよりも役者の器で楽しめれば7いいかと思います。

これに北条先生の狐と笛吹きがつく。

夜は長谷川伸瞼の母が注目です。

渡世人の忠太郎が母を探していくうちに実の母と出会う。

ところが自分の過去とのしがらみ、今の自分の立場から母は名乗りを断る。

長谷川伸の股旅ものは、歳月が登場人物に影を落としている。

番場の忠太郎にしても、駒形茂平にしても。

アウトローは結局アウトローで一生を終えなければならないのかと問いかけを突き付けられる。

忠太郎の母、お熊にしても自分との過去とどう向き合ってよいものか途方に暮れている。

背景に長谷川伸の自伝的要素も垣間見れてくるのでいろいろ考えてしまいます。

忠太郎を獅童、お熊を秀太郎が演じる。

これに夜は仁左衛門の身替座禅 雀右衛門の碁太平記白石噺がつく。