11月の歌舞伎座
11月の歌舞伎座の演目が決まる。
昼の部は研辰の討たれから最近は勘三郎と野田秀樹の野田版が有名であるがオリジナルはこちら。上方の歌舞伎で守山辰次を幸四郎が演じる。研辰を見ていると敵討ちとはただ武士のブライドのためにやっているに過ぎないことが見えてしまう。
舞踊の関三奴を経て黙阿弥の髪結新三。
本来、髪結新三は初夏にやるのがベストな演目。初鰹や初夏のじめじめした雰囲気の芝居を晩秋の11月にやるのはどうかなと思う。歌舞伎にはやっぱり季節感がいる。
とはいっても菊五郎のさらりとした新三は見ものです。
周りの髪結とはいえ、チャンスがあれば売り出したい若者の生きざま、江戸の生活感を垣間見れるという意味では個人的には好きな芝居。
夜の部は菊畑から始まる。菊畑は源氏再興のため兵法家の吉岡鬼一法眼から兵法書を手に入れんがために虎蔵、牛若丸とその家来智恵内が苦心が伺える作品である。
個人的には虎蔵と智恵内が義太夫にのって兵法書を手に入れる段取りを決めていくくだりがこの芝居の眼目である。
虎蔵を梅丸改め莟玉、智恵内を梅玉の親子で演じる。
鬼一を芝かんと今月の注目の芝居かも。
中幕に幸四郎染五郎親子の連獅子のあとに池波正太郎作の「市松小僧の女」と続く。「市松小僧の女」は鬼平犯科帳で何度か取り上げられた作品。
すりの市松小僧と女房のお千代との恋模様を描いた佳作。