tatsuro1973の日記

歌舞伎、文楽、落語を中心に古典芸能について綴ろうと思います。それと日々の暮らしについてもです。

京都南座 12月 吉例顔見世興行

 毎年恒例の京都南座の顔見世の演目と配役が決まる。

関西で歌舞伎を見るようになってから顔見世を見ることで今年も無事に越せたかなと実感する。

www.kabuki-bito.jp

今年も去年と同じく芝かんが登場する。

仁左衛門を上置きに愛之助と芝かんが中心になっている。

注目しているのが壱太郎が雪姫を演じる「金閣寺」。

金閣寺」の雪姫はお姫様の役でも大役のひとつで、雪舟の孫であることを活かして鼠の絵をかいて奇跡を起こす、神話性を帯びた話で背景の満開の桜のなかでドラマが展開していくビジュアル的にも楽しめる演目です。

個人的には壱太郎には注目している。いずれ、上方歌舞伎の立女形として引っ張っていくべき存在の人である。折り目正しく、端正な芸を持っている この人の成長を見守りながら歌舞伎を見ていくのが私の楽しみである。

松永大膳に鴈治郎、久吉に扇雀、直信に芝かん 慶寿院に藤十郎 佐藤正清に愛之助

と役者が揃う。

昼の部の切に忠臣蔵の「七段目」

仁左衛門の由良助。

由良助は「四段目」と「七段目」はメインであるが「七段目」の由良助は演じるものとしては難しいとされる。祇園で遊蕩に耽っているといえ、敵討ちの気持ちは隠しておかないといけない、たとえ、主君の命日に、生き物を食べることを控えなくてはならないのに裏切り者の斧九太夫に蛸をすすめられて食べる 本心を絶えず隠していかなくてはならない 難しい役どころです。

この「七段目」の由良助は父である十三代仁左衛門の当たり役でもあります。

おかるに孝太郎。

上方のおかるは東京のおかるとは衣装がことなり、胴抜き、遊女めいた格好。

東西の演出の違いを知るうえでも興味深いです。

平右衛門に芝かん。

二世松緑芸談を読んでいると、気持ちのいい役。

戸板康二風にいえば、調子のいい役。

おかるとのやりとりがどうなるかが注目。

夜は芝かんの「魚屋宗五郎」

無実の罪で妹が殺されて、絶っていた酒を飲んで酔っていくくだりが見もの。

黙阿弥作であるが、宗五郎が良くてもダメで周りのチームワークが求められる芝居。

女房のおはまに雀右衛門、召使のおなぎに孝太郎 三吉に橋之助

夜の部の切に若手、隼人 橋之助 莟玉 千之助による越後獅子

どんな踊りになるか。