竹本津駒太夫
文楽の初春公演の演目が決まる。
その中で竹本津駒太夫がしころ太夫として襲名することになった。
最近はこのひとに注目して語りを聞いているだけにうれしい限りである。
20年くらい前に文楽を背負うと期待された中堅の太夫さんが多く亡くなられたときはこれからどうなるのかと心配していたが杞憂に終わったのがなりよりであった。
文楽も最近の太夫さんはイケメンでありファンなどに親切な方が多い。
津駒太夫については昔ながらの太夫さんのイメージ、面白くない そっけない 顔をくしゃくしゃしていう芸で 受けが悪くて 金儲けのできない 杉山其日庵の浄瑠璃素人講釈に出てくる大隅太夫を思い浮かべてままならない。
いかつい顔をクシャクシャさせていく津駒であるが女性を語ると力強い 芯のある女性が浮かんでくる。
酒屋のお園を聞いていると、越路太夫で聞いていると艶が出てくるかわいらしさが見えてくるが、津駒で聞いていると家を守る、一本線が通った女性が見えてくる。
正月に語った阿古屋もまたしかりである。
どちらがいいわけではないのですが、描き方でこんなに違うものかと考えてしまうこれが古典芸能の面白さであります。
津駒は地味ではありますが実力のある太夫です。
多くの人にこの人の魅力を知ってほしいです。
襲名の演目は、傾城反魂香のども又。
この人にふさわしい演目です。
個人的には住太夫さんの渋味の効いた語りが忘れらないです。